今回は、2015年のカッピング評価が82点のスペシャルティコーヒー豆「ブラジル産 アグア リンパ農園 ナチュラル精製」のコーヒー豆のご紹介をさせて頂きたいと思います。
前回は、「プレミアムコーヒー豆」であるインドネシア マンデリンコーヒーでも華やかなフレーバーで定評があるインドネシア産 マンデリン アチェ G-1の素晴らしさを説明させて頂きました。
「スペシャルティコーヒー豆」は、
「アラビカ種の品種が特定できる」
「コーヒー農園もしくは、栽培地区が特定できる」
「トレーサビリティーがハッキリしてる」
「コーヒーの液体の風味のカップ評価が一定基準を超えている」
・・などの、コーヒー豆の生産履歴もハッキリとしていて、コーヒー液のカップ・クオリティの高さも基準としているくらい品質にも重視している部分があるので、価格なども値段相応でありますが、品質が高い分淹れ方などの工夫をしなくても雑味などが少なくとてもクリーンカップであります。
そして、クリーンカップであるということは、コーヒーの「甘さ」「酸味の特性」「質感」「風味特性」などの味に繋がる要素などの輪郭がハッキリとしてくるので、フルーツを思わせるような甘味だったり、チョコやナッツなどを思わせるような風味を感じやすくなるので、コーヒーの幅が広がりコーヒーそのもの味わいを楽しめます。
今回は、このスペシャルティコーヒーの素晴らしさと、そのスペシャルティコーヒーである「ブラジル産 アグア リンパ農園 ナチュラル精製」コーヒー豆の味わいや魅力をお伝えさせて頂きたいと思います。
1、ブラジル産 ファゼンダ アグア リンパ農園 ナチュラル精製コーヒー豆とは
1-1.スペシャルティコーヒーとは
◎コーヒーを飲む人に対して◎
液体の風味の素晴らしいコーヒーの美味しさを感じて頂き、コーヒーを飲む人が美味しいと評価して満足するカップを与えること。
◎風味の素晴らしいコーヒーの美味しさとは◎
際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと。
そして、カップの中の風味が素晴らしい美味しさであるためには、コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階に於いて一貫した体制・工程であり品質管理が徹底している事が必須であることであります。
このことを「From Seed to Cup(フロム・シード・トゥ・カップ)」といいます。
◎一貫した体制・工程であり品質管理の実態とは◎
生産国においての栽培管理、収穫、生産処理、選別そして品質管理が適正になされ、欠点豆の混入が極めて少ない生豆であるように、チーム体制などを整えて精製プロセスや品質管理なども一貫して行っております。
コーヒー豆の輸送と保管は適切な処置を行われ、劣化のない状態で焙煎をし、欠点豆の混入がない状態の焙煎豆であるようにします。
その適切な焙煎豆の状態で、適切な抽出を行い、カップに生産地の特徴的な素晴らしい風味特性が表現することまで一貫してスペシャルティコーヒーであるといえます。
◎スペシャルティコーヒーの液体のカップクオリティの評価基準とは◎
1. カップ・クォリティのきれいさ Clean cup
カップのきれいさとは「汚れ」又は「風味の欠点」が全く無い事を意味します。コーヒーの栽培地特性「テロワール(Terroir)」がはっきりと表現するために、必要な透明性があること。そして、風味の「汚れ」や「欠点」などがあると「テロワール(Terroir)」 による風味のプロフィールが隠されてしまい、飲む人の感知が出来にくい状況になります。
2. 甘さ Sweetness
農園でコーヒーのチェリーを収穫した時に、熟度の状態が良く、熟度がどれほど均一であったかに直接関係する甘さの感覚を重視します。そして、甘さとは焙煎されたコーヒーに含まれる糖分の量が絶対的な指数になるのではなく、甘さなどの印象度を他の成分や要素との結合にも依存していること。糖分が高くても、甘さを感じることを阻害する要因があると甘さを感じにくくなるので注意すること。例えば、辛さのあるような苦味・刺激的な酸味・カップの汚れ・渋みの味わい等が有ると甘さを感じにくくなるようです。
3. 酸味の特徴評価 Acidity
コーヒーが如何に明るさを持つか大事になってきます。「明るい爽やかな酸味」や「繊細な酸味」が、どれ程であるかが評価対象になります。良質の酸味の定義は、コーヒーに生き生きとした印象度を与え、繊細さ、しっかりとしたバックボーンを与えるものであるものであります。
ここでは、酸度の強さではなく、酸の質について評価をすることに重視するのであります。
反対に、刺激的な酸味、不快な印象度を与える酸味、爽やかさ・キレの無い酸味、劣化した嫌な酸味は、スペシャルティコーヒーでは評価対象には含まれない。そして、有ってはならないのであります。
4. 口に含んだ質感 Body
コーヒーにより伝えられる触覚のことです。
口に含んだ質感は、「粘り気」「密度」「濃さ」「重さ」「舌触りの滑らかさ」「収斂性感触などの感覚・触覚」などが含まれます。
口に含んだ時の量感は、質感とは同じ意味ではありません。量感に気をとられ過ぎると、不快なザラツキによる触覚をコクと誤って判断する結果となるので注意が必要になります。
「量感」を評価するのではなく。「質感」の品質を評価することが重要になります。
5. 風味特性 Flavor
スペシャルティコーヒーと一般のコーヒーを混同せずに、区別をするために最も重要な項目になります。
味覚と嗅覚の組み合わせが重視され厳重にチェックされる項目でもあります。
1杯のカップが出来上がるプロセスでもある【栽培⇒収穫⇒回収⇒選別⇒生産処理⇒保管⇒焙煎⇒抽出】が理想的になれば、栽培地域の特性の「テロワール(Terroir)」が正しく表現されるものになるはずです。
そして、そのコーヒーが一般的なプロフィールしか公表出来ないのか、あるいは栽培地の地域特性の「テロワール(Terroir)」 が、正しく表現をして公表ができているかを明確に評価されます。
6. 後味の印象度 Aftertaste
コーヒーを飲み込んだ後に持続していく風味には、コーヒーの他の属性により醸し出される心地よさを「強める場合」「弱める場合」「一切駄目にしてしまう場合」の3つの結果があります。
そして、コーヒーを飲み込んだ後の「口に残るコーヒー感」が、甘さの感覚で消えていくのか、刺激的で嫌な感覚がにじみ出てくるのかを判定するポイントでもあります。
7. バランス Balance
1杯のカップに注がれたコーヒーは、風味の調和が取れているのか?
何か突出するものは無いか?
何か欠けているものは無いか?
・・などの、調和やバランスが取れているのかのチェックを行います。
1-2.ブラジルコーヒーの歴史
皆さん、ご存じだと思いますが現在のブラジル国のコーヒー生産量は世界一を誇ります。
これは150年近くにわたり世界一の生産量を守り続けておられます。
もとはエチオピア原産のコーヒー豆が、欧州⇒アンティル諸島⇒ギアナ⇒ブラジルに渡ってきたのが1727年ごろと言われております。
そして、このコーヒー栽培がブラジルで本格的に始まったのが1761年頃らしいです。
ブラジルでは一般的に9~12月がコーヒーの開花時期であります。
そして、コーヒーの開花後6~8カ月くらい経つと、緑色の果実は赤くなり、深紅色に熟していきます。
その熟した実は、サクランボに似ているのでコーヒーチェリーと呼ばれております。
そして、このコーヒーチェリーの収穫は5月頃に始まり約3ヶ月後の8月まで続きます。
ブラジル国のコーヒー精製過程は、収穫したコーヒーチェリーを広い場所に敷きつめて、天日乾燥させた後に、コーヒーの種子を取り出していきます。天日乾燥したコーヒーチェリーは、日光で乾燥させることによって果肉に含まれた糖分が増すことで生まれた美味しさが、カップで飲む際には、ブラジルコーヒーならではの深みとコクを感じることが出来ます。
この伝統のブラジルコーヒーの味わいが進化を辿りつつある近年になってきました。
その要因として1990年代に入り、ブラジル国のコーヒー栽培に本格的にスペシャルティコーヒーの概念を持って生産が始まったことにあります。
そして、1991年にブラジル・スペシャルティ・コーヒー協会(BSCA)が設立されました。
1-3.ブラジルスペシャルティコーヒー事情
「スペシャルティコーヒー」の概念が誕生したのは1980年代になります。
そして、そのスペシャルティコーヒーの概念は上記に記載したとおり、液体の風味の素晴らしいコーヒーの美味しさを感じて頂き、コーヒーを飲む人が美味しいと評価して満足するカップを与えることが目的になります。
その後ブラジルは、1991年にスペシャルティコーヒーの販売促進を目的としてブラジル・スペシャルティ・コーヒー協会(BSCA)を設立しました。
BSCAの会員の農園は、高品質のアラビカ種のコーヒー栽培をするブラジル地域におられます。南ミナス、ミナスのマタス、セラード、ミナスのシャパーダ、モジアナ、バイアとパラナの地域にあるコーヒー農園でブラジルのスペシャルティコーヒーは栽培されております。
つまり、コーヒー品質のアラビカ種を栽培するブラジルのコーヒー農園は、ほぼスペシャルティコーヒーを栽培をされておられるのであります。
ブラジルのスペシャルティコーヒーの農園の考えは、コーヒー栽培の方針は環境に優しく、自然環境維持方式で取り組んでおります。
農業活動に関わる関心は、自然を保護する事が鍵となる考えがあります。
水資源は守られ、自然林は保護されております。
固形及び液状廃棄物は環境汚染を回避する方式で有機肥料として活用されております。
野生動物は保護の対象であり、空気・土壌・水資源を含む動植物・自然の生態系が守りながらコーヒー栽培に取り組むのが、ブラジル・スペシャルティ・コーヒー協会(BSCA)の方針であり考え方であるそうです。
1-4.「ブラジル ファゼンダ アグア リンパ農園」のコーヒー豆とは
アグアリンパ農園は、南ミナスの都市ポッソス・デ・カルダスのグラマ・バレーに位置しております。
この地は、ブラジルでは比較的高地に位置しており、肥沃な火山性ミネラル土壌や、温暖な気候とコーヒーを生産する上でこの上ないマイクロクライメットを有しております。
この地域でも、アグアリンパ農園はCOEも受賞する経歴もある、素晴らしい農園として広く知られております。
アグアリンパ農園は、ノゲイラ夫妻とその子供たちが、高度な技術を持って高品質なコーヒーを生産する事を伝統として受け継いでおります。
栽培品種は、イエローブルボン・ムンドノーヴォ・カツアイと多岐にわたって植樹がされております。
苗木は、その土地に適合するようにと、他国や他エリアから直接持ち込む事はせず、このエリアのこの土壌で採取された種子から育てております。
また、高品質なコーヒーを継続的に生産するためには環境に配慮する事が重要であるという考えから、周囲の自然林と河川を保護し、ポッソス・デ・カルダスの肥沃な土壌と豊富な水源を守り続けております。
COE受賞なども経験しながら、近年は従業員や地域に暮らす人々の生活水準向上にも意欲的に取り組み、公共のサッカー場の建設やレジャー施設やクラブを設け貢献をしておられる素晴らしい農園主であるようです。
2015年収穫した、こちらのアグアリンパ農園のカップは、前年の干ばつの影響もあり、酸の質やフレーバーは好印象のままでありますが、甘さとクリーンカップにはやや欠ける印象の評価であります。
深煎りに仕上げると、やや爽やかな赤ワインのような印象があるようです。
1-5.コーヒープロファイル
名称: ブラジル ファゼンダ アグア・リンパ ナチュラル
生産国: ブラジル
地域: 南ミナス ポッソス・デ・カルダス
農園: アグア リンパ
生産者: プリニォ・シリノ・ノゲイラ・フィーリョ
標高: 1200m
品種: イエローブルボン
生産処理: ナチュラル
スペシャルティコーヒーは、精製処理・流通経路・風味特性プロファイルなどが明確であるので、農園主の想いまでも想像が出来て味わえる、スペシャルなコーヒーであります!
今回は、スペシャルティコーヒーの歴史背景や意義などをお伝えし、当店でも取り扱いがある「ブラジル ファゼンダ アグア・リンパ農園」のコーヒー豆の想いのあるスペシャルティコーヒーのお話しをさせて頂きました。
改めて、私たちコーヒー販売している立場の人間が、どういうことを消費者の方に伝えていくべきなのかを再認識出来た一面もありました。
その上で、コーヒーに対しての取り組みをしている方々に感謝と敬意を表して、この素晴らしいコーヒーをカップに表現していかなくてはならないと感じました。
私たちコーヒー屋が出来る最大限の努力は、適正な焙煎と適正な抽出のみであります。
カップに注がれるコーヒーは、そのコーヒー農園主たちの作り手の想いや味わいを最大限に消費者に繋ぐ架け橋にならねばと思います。
そして、ブラジルが世界一の生産量を誇り、世界のコーヒーシーンの立役者になるべく、素晴らしいコーヒーを伝えるために設立された、ブラジル・スペシャルティ・コーヒー協会(BSCA)の気持ちや歴史背景などを考えると、益々このスペシャルティコーヒーにかける生産者やブラジルコーヒー関係各社の方々にも、感謝御礼をしていくことも忘れずにコーヒー道を学び、皆様にお伝え出来ればと思います。
皆様にも、この素晴らしいコーヒー豆をお届けが出来れば嬉しいです。
現在、2015年10月中は、この「ブラジル ファゼンダ アグア・リンパ ナチュラル」コーヒー豆を浅煎りから深煎りまでのポテンシャルを引き出す焙煎をさせて頂き、そしてカップに注ぐコーヒー液を特性などを最大限に引き出せる抽出方法で提供させて頂きます。
皆様にも、この個性あふれるフレーバーと風味特性を味わえる1杯を提供させて頂きますので、お時間がある方は是非お立ち寄り下さいね。
そして、ご家庭でもこの素晴らしいコーヒー豆を楽しみたい方にも、数量は限られておりますが挽き売りをさせて頂いておりますので、是非インターネットからでも問い合わせ下さいね!!
皆様も、今後美味しく素敵なコーヒーライフになるといいですね。
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